前回に引き続き激しい音楽ですが…
今回選んだ音楽はeastern youth(イースタンユース)さんのアルバム『ボトムオブザワールド』です。
自分は1995年に発売された『口笛、夜更けに響く』から聴き続けていますが、それまでのeastern youthの一つの到達点に行ったように感じたアルバムです。レコーディング後に長年ベースを弾いてきた二宮 友和さんは「やりきった」と脱退を決意。歌詞は脱退に関係してないはずなのにそれも踏まえた位の哀愁や熱量。
歌詞一部引用
①街の底
泣きながら生まれてきた俺達 意味もなき故の価値に輝いて
訳も分からずただ歩き出した 訳も分からずただ喋る出した
いつしかその涙は否定され それからその鳴き声も奪われた
意味なき故の価値を見失い 価値なき故の意味なき命か
②鳴らせよ 鳴らせ
飲み込まれるな 真っ暗闇なら誰にだって 奥底深く
持っていかれるな 逆巻く波ならどこにだって あの日も今も荒れ狂っている
③イッテコイ カエッテコイ
過去 未来 今 夜明けの窓 どこ そこ ここ 逃げ場はない
空 雲 風 真昼の路地 だれ かれ され 消えちまえ
④ナニクソ節
雲を割って光の束が降ってくる 花を散らして激しい風が吹いてくる
涙が出そうだ だけど泣きたくねぇ!
ぶっ倒れそうだ だけど負けたくねぇ!
⑤コンクリートの川
抑圧と不条理は向こう側の車線に 絶望と諦めは手前の信号に
中傷と嘲笑はコンビニの裏手 なんでもねぇ なんでもねぇ
泣いてなんてやらねぇ やらねぇ
⑥茫洋
茫洋 茫洋 大海原
茫洋 茫洋 屋根瓦
⑦テレビ塔
街はやっぱりいつもの騒ぎで 誰も何も気付かぬ顔して
本当は気付いている みんな分かっている
⑧道をつなぐ
OK わかっている
最初の最初に歩き出した場所へ 道をつなぐ
⑨直に掴み取れ
押し付けられた世界を踏み外して 行くも戻るも風に訊く
誰かが決めた未来を突き返して 人間万事塞翁が馬
直に掴み取れ
⑩万雷の拍手
どこから話せばいいのやら それともいっそ何も話すまいか
話したところで何になる
一体誰に向かって話すつもりだったのか
ちっぽけな人生の物語は 人混みに紛れ込んだまま
いつしか行方をくらまして それっきり
昔、テレビブロスで星野源さんとYMOの細野晴臣さんが対談する連載で「eastern youthは哲学・道徳だ」と細野さんが口にしました。ずっと聴いてきた自分にとっても同感でした。
このアルバムを聴いた時、素直な感想が「この年齢でもか」
当時、45歳くらいだった吉野さんが書く歌詞は正直45歳でこのモヤモヤの中で生きているという現実を知って10歳以上も年下の自分にとっては驚愕だったし、ある意味覚悟ができた音楽でした。
試聴ではイントロしか聴けませんがこのラスト曲『万雷の拍手』は涙が出るくらいの叫びです。ある意味、曝け出した音楽。人間誰にだって色々な悲しみや迷いがあることを認識させてくれるいいアルバムです。
※たまにApple music誘導の画面出た時はお手数ですが左上「×」クリックすると聴けます。
当時のインタビュー ↓
eastern youth、大名作『ボトムオブザワールド』をハイレゾ配信&インタヴュー掲載 - OTOTOY
たまに『街の底』の歌詞が「人間達」⇒「逃げて」に聴こえます。